2019.9.24
藤森照信建築探訪
長野へ行った際に茅野市に立寄り建築家であり、建築史家でもある藤森照信氏の代表作「神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」を訪れて来ました。この建物は、守矢家の文書を保管・公開する博物館で江戸時代まで諏訪大社上社の神長官を務めた、洩矢神の子孫である守矢家の敷地内に建築されました。構造は鉄筋コンクリート造りで自然素材で仕上げてあります。屋根には諏訪産の鉄平石、外壁にはサワラの割板、内壁にはモルタルに切りワラを混ぜた上に土を塗り、窓は手吹きガラスが使われています。そして特徴的なのは、玄関正面に4本の地元産のイチイの柱が、屋根を突き抜け建てられているところです。独特なフォルムと自然素材が放つ雰囲によって周囲の景観にとても馴染んでいます。また、資料館の近くには「空飛ぶ泥舟」や「高過庵」や「低過庵」などの茶室もあります。高過庵は、高さ6mの2本の栗の木の上に建築されていて、アメリカのTime誌では「世界でもっとも危険な建物トップ10」に選ばれています。
藤森氏の建築は建築史家として建築の歴史、文化などを背景にしているところが大きく影響しています。おそらく藤森氏は、歴史を読み解くことで人間の潜在意識の中にある人類共通の普遍意識を見ることが出来たのだと思います。意識をどんどん拡大させ何にも囚われず、それを純粋に具現化していることに深く感銘を受けました。私が目指している心の調和をもたらす建築、そしてその先にある二元から一元への世界、それを表す象徴的な建築だと感じました。もしかしたら潜在意識、顕在意識この両方を拡大していく中で宇宙意識と繋がり、建築と藤森氏の波長が同調し共振しすることで、このような独創的な建築が設計出来たのではないかと思いました。