2020.9.9
月
まだまだ暑い日が続いていますが、月が綺麗に見える季節になってきました。以前、自然豊かな住宅地で設計した住宅は、東南からの太陽の光を取り入れる為に大開口や吹抜けをつくりましたが、目的のメインは満月を眺めることです。ダイニングから眺める満月や二階の吹抜けに面して設けたスタディーコーナーから眺める満月など、月は±35度の範囲で周期的に方角が変わりますので、月の見える方角に合わせ開口部のデザインや大きさを調整しました。太陽のエネルギーはとてもパワフルではありますが、月は太陽とは異なる性質のエネルギーを持っていて、人間の持っている波動と共振共鳴を起こします。敷地条件によってはこの月の持つパワーを活用し、設計する手はありません。月を際立たせる為の空間構成や素材感、色使い、それから壁の量によって情報をコントロールし静謐な空間をつくり出します。静謐な空間から月を眺めることで様々な気付きが得られます。その気付きとは人それぞれだとは思いますが、宇宙の深淵さを感じたり、あるいは宇宙との一体感を感じることなどです。
人は意識的になることで多くの気付きを得られます。それが、最終的には人生に求め続ける居心地の良さ、つまり絶対的な安心感を得るのだと思います。これは永続的な感覚的であり普遍的なものです。
この住宅から来月にやって来る中秋の名月が見えることを期待しています。