2021.1.16
会話の密度
住宅設計のポイントのひとつにLDKの配置があります。敷地に余裕があり方位などの条件がいくつか合えば、リビング・ダイニングをズラす配置をしたり、あるいは中庭でリビングとダイニングを分けたりします。一般的にLDKは広い一室の空間が多いですが、会話の密度が同じになってしまうと感じるので、一室の場合でも何かしらの工夫を施す必要があると思っています。会話の密度とは、例えば茶室のような小さな部屋とホールのような大空間では、なされる会話の内容が同じテーマであっても違ってきます。他にも日本料亭の畳の部屋でなされる会話と、ホテルのラウンジでなされる会話とでは違ってきます。そのことを私たちは生活の中で経験上知っていて、求める会話により無意識に空間を変えています。それだけ空間、建築は心に影響を及ぼし、会話の密度に影響を与えていることが分かります。
日常を過ごす住宅においては、リビング・ダイニングでなされる会話の密度は更に細分化され、朝、昼、夜の時間帯によって変わってきます。特に一日の始まりである朝のダイニングでの過ごし方は、その日一日の気分を決めると考えています。また夜のリビングでの過ごし方が、明日への活力を生むと考えています。このような日常の中にある人の無意識の行動を観察し、潜在意識下にある欲求を空間に具現化していくことが大切だと考えています。
次回はダイニングについて更に深堀りしたいと思います。