2014.8.30
軽井沢山荘(脇田邸)
軽井沢にある脇田邸は、巨匠吉村順三氏が
手掛けた住宅です。
年に一度だけ見学できる機会があります。
脇田邸は、一階部分を鉄筋コンクリート造
でつくりその上に木造の住宅をのせていま
す。
この方法は、軽井沢の気候風土を考慮し雪
や湿気から建物を守る為ですがただ、それ
だけではありません。
二階にリビングを上げたことで一階では得
られない開放感と空や緑といった自然との
一体感をより強く感じることができます。
また、一階部分は薪をストックするスペー
スにもなり、またBBQも楽しむことがで
きます。
内部の素材や外観など素晴らしく意匠的な
ことに目を奪われがちですが、吉村氏は温
熱環境に対しても様々な工夫を施していま
す。
冷たい空気をサッシの鴨居の溝から吸い込
み、それを一階のボイラーで暖め床下の隙
間に流し床暖房を行います。
また、作り付けのソファーの背後からも暖
かい空気が吹きでる仕組みになっています。
そして、リビングには美しい暖炉があり空
気の流れを考えたつくりです。
この写真を見るたびに地域ごとの気候風土
に考慮した設計をしなければならないと考
えさせてくれます。
降水量が多く雪が降る湿度の高い富山県。
外観のフォルム、軒の出、温熱環境、窓辺
など考え設計し、決して流行やその時の思
いつきで設計をしてはいけないのだと語り
かけてくれている気がします。