深山知子一級建築士事務所・レトノ 深山知子一級建築士事務所・レトノ

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2017.9.4

光の温かさ

完成した住宅は、北側が道路で、三方が建物に囲まれるという敷地での計画でした。住宅に必要な居心地のよさを得られる内包感と開放感を両立するには、光や風など自然を取り込む中庭の位置がとても重要でした。敷地周辺の環境からまずそれを北側に配置することを考えました。建物の高さと屋根形状・開口部などを工夫することで道路に面した北側の庭でも反射光などを利用して十分な明るさが得られると思ったからです。しかし、北庭では光の明るさは確保出来ても感覚的な温かみが感じられない。光のもつ温かさを感覚的に感じれない住宅は、居心地の良さにつながらないのではないかと考え直し住宅の中央部に配置する計画としました。町家のように中庭を中央部に設けたことで南側からの光(感覚的な温かさを感じる光)を得ることができました。開口部をコントロールすることで内包感を感じ、吹き抜けに寄り添うように螺旋階段が伸びていくことで開放感も同時に感じれます。なによりも南側からの光は、木々の影を床いっぱいに落としてくれます。それらすべてが居心の良さをもたらしてくれるのだと思います。設計を進める途中で、解決するべき色々な課題や問題に直面します。その問題を解決する手段を一度複雑化してしまうと際限がありません。やはり問題解決の為には出来るだけシンプルに考え、最短ルートで答えを導くことが大切だと思いました。