深山知子一級建築士事務所・レトノ 深山知子一級建築士事務所・レトノ

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2023.12.3

リビングの照明計画

夕暮れ時、陽が沈むのと同じように私たちの体も覚醒から睡眠へと移行していきます。空間の印象が昼間とは全く異なる表情を見せてくれる夜の照明計画は、ただ明るくするのではなく人の体内リズムに合わせたものになるよう心掛けています。
灯りは粒子なのでなるべく直線的な影を出さず、粒子としてその粒の存在感を感じるようにしています。灯りの量や質にこだわって配置し空間によっても照明器具の使い分けをしています。
リビングはダイニングと違い一定の目的を伴わない空間です。家族で同じ体験を共有することができたり、各々の時間を過ごすこともできます。
照明計画はその様々な振舞いを受け入れるようなものになるようにしています。これから睡眠へと向かうリズムに合わせるように照明の質感は明暗の境界を曖昧にしたグラデーションにし、また光の粒感を感じさせてくれる拡散光や間接照明などで整えていきます。そしてその中に印象的で、抽象的な光をひとつ置くことで、そこが光の拠り所となり空間全体を深い安心感、安らぎ、落ち着きで満たしてくれます。同じ空間を共有しているという一体感、照明の灯りに包まれるような感覚。それらすべてがこの空間での居心地の良さにつながり、体内リズムに合わせた睡眠へとスムーズに移行するのではないかと考えています。