深山知子一級建築士事務所・レトノ 深山知子一級建築士事務所・レトノ

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2024.2.22

建具越しの景色

建具とは・・・部屋の仕切りや外部との仕切りに用いる、開け閉めすることのできる可動性の障子・襖・窓・戸などの総称のようです。私が思う建具はこの定義にプラスし、開閉する行為や行為を連想させることで、その先に広がる空間を想像し期待しワクワクさせることだと考えています。例えば玄関ホールからLDKに移動する時、その奥の植栽などの景色をどのように見せるかで建具の意匠は決まります。ガラス框戸で一瞬にしてクリアーな景色が見えてしまうと、建具を開けるという行為によっての感情の動きは少ないかもしれません。一方格子戸を用いると格子越しの景色が見え、そして格子戸を開け放つと視線の先にはクリアーな景色が広がります。

行為を伴う段階的な感情の移行が外の景色をより美しく見せてくれます。格子戸は開口率、開口の縦横のバランス、桟の太さ、組子の凹凸の深さによって景色の見え方が変わります。先にも述べましたが建具の最大の魅力は、開けるという行為を伴う期待感、ワクワクにあります。建具の魅力をより感じるには、空間の空気感、目線の先にある景色、情報がバランスよく操作されていること大切です。