深山知子一級建築士事務所・レトノ 深山知子一級建築士事務所・レトノ

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2024.7.29

植物とコンセプトから見る木の未来

先日、富山大学で開催されたイベント「植物とコンセプトから見る木の未来」に、パネリストとして参加する機会を頂きました。 レトノのコンセプト「心の調和をもたらす建築」では植物を際立たせることを建築のエッセンスとして散りばめています。植物を際立たせるとは、「植物の声を聴く」と言い換えてもいかもしれません。 この”声”を聞く為には、私たちの感性を開くことで五感を超えた領域でのコミュニケーションが可能になります。人間の成り立ち、構成、心の部分である意識の階層を理解することが大切であり、特に潜在意識下にある無意識は習性として顕在化するので、とても興味深いものがあります。

建築に深く関わる植物達の地球上における現状を見ると色々なものが見えてきます。 その中の一つとして森林伐採があげられます。森林は一分間で東京ドーム2個分が無くなり、このままいくと80年後には森林が無くなると言われています。また森林伐採によって生息地を追われた、野生動物たちの厳しい状況が浮かび上がってきます。一日100種類以上の動物が絶滅危惧種になっています。 私はいずれアフリカの動物保護区に行き、野生動物たちと話がしたい、コミュニケーションをとりたいと思っているのでこの現状には胸が痛いです。 森林伐採はかつて食糧危機という緊急の理由から行われたことがある為、その状況も理解しなければなりません。しかし、森林伐採は陸上の問題だけではなく、地球全体が繋がっているため海洋問題にも影響を及ぼしています。 私達すべてが一連の循環システムの中で生きていることを改めて教えられました。 「全てはどこかで繋がっている」この言葉が全てを物語っており、この言葉の真意が心に深く共鳴しました。 私がもし植物や木や森林だったら、私がもし野生動物だったら、私がもし海の魚だったら、私がもし地球だったら、何を思うだろうか? その想像を通じて、私たちがワンネスの感覚をいつも感じることができるようになれば、全てのものとのあり方がより親密になると思います。

建築家ルイス・カーンは建築と親密なコミュニケーションを取っていたと思います。 「レンガに何になりたいかと話しかけるとアーチなりたいとレンガはいう。お金がかかるのでコンクリートでやるけどいいかと聞く。するとやはりアーチがいい」 とても楽しくもあり、哲学的な文章だと思います。 さて、今回のテーマである「植物とコンセプトから見る木の未来」とは、私の個人的な想像や思いでしか話すことが出来ませんが、私たちの感性を開き、五感を超えた領域で植物や動物たちのような非言語によるコミュニケーションをできるようになることだと思います。 それによって地球や宇宙を含めて全ての動植物達の循環システムや一体感の共感覚が得られると想像します。そんな未来が待ち遠しいです。