2025.12.22
秩序という、見えない通奏低音
私達が生きている現実世界は、その根底に流れる一定の法則によって、具現化されている世界だと感じています。そしてその原理は、建築もまた同じだと思うのです。空間に身を委ねたとき、そこに感じる静謐さ。派手でもなく、説明的でもない。けれど、その空間全体を通奏低音のように流れる、確かな秩序を感じる瞬間があります。しかし、その秩序は、そこに置かれているモノや、誰かの強いこだわりそのものではありません。

たとえば宇宙を思い浮かべると、星々は無数に散らばっているように見えながら、実際には重力や軌道、周期といった法則に従って存在しています。そこには、法則の中で保たれた静かな均衡があります。建築もまた、語りすぎることなく、正しい位置に、正しい関係性で、ただ「在る」状態が最も自然なのだと考えています。通奏低音のような秩序を内包し、具現化された空間は、現実世界における日常という行為を、深いところで、静かに支え続けていく。そうした空間を、つくり続けたいと考えています。
